精神的に苦しかった時期を言語化で乗り切った経験談をします。
私には適応障害になり休職、退職をした過去があります。適応障害の診断を受ける前の数年間、仕事が精神的に苦しくて追い込まれていました。その時期はカウンセリングや診療内科に通いつつ、苦しい状況を騙し騙し過ごしていたわけですが、その頃に自分の心を楽にしてくれた習慣ができました。
それが「自分の感情を言語化する」という習慣です。
言語化の方法として、喫茶店などに籠って一人になり、自分の今の気持ちや考えていることをひたすらノートに書き殴るというような方法で、とにかく自分の感情を言葉にしていきました。苦しかった当時を今振り返ると、この言語化の習慣が自分の心の支えになっていたと感じます。
「感情の言語化」が、自分の気持ちを楽にしてくれた理由は、感情を言語化をすることで「感情の解釈ができるようになる」からだと考えています。
感情は、「何となく今つらいな」「ちょっとしんどいかもな」、逆に「楽しいな」というような形で、それ自体はボヤッとしたもの。ボヤっとしている状態だと、解釈が入らずそれ自体を感じることしかできないものです。「辛い」は「辛い」だし、「楽しい」は「楽しい」というように、その時の感情を、一つの方向でしか捉えることができない。
そのボヤッとした感情を言語化すると解釈ができるようになる。解釈次第で物事はポジティブにもネガティブにも捉えられるようになる。つまり、言語化により一方向しかなかった感情に二つの方向(選択肢)ができる。
これが、言語化が心の支えになる理由だと考えています。
例えば、仕事の中で「苦しい」という感情になった時に、「苦しい」という感情を言葉にするところからスタートして、その苦しさの原因は何だろうか、どういう時に苦しさを感じたのか、などを言葉にしていく。原因として「上司との関係がうまくいっていない」という言葉が出てきたのならば、そこからさらに「関係がうまくいっていないのは何故か」などと言葉を作っていく。「性格が合わない」とか「忙しくて声がかけにくかった」とか思いつく言葉をあげていくと、解釈の余地が生まれてきます。悪い方向に解釈をすると「自分は上司とはうまくいかないからもうこの職場にはいられない」という解釈になることもあるし、「この人間関係も一つの人生経験だ」と「たまたまその上司が機嫌が悪かっただけ」といったプラスの方向性やそんなに重く捉える必要もないような解釈もできるようになると。
いい方にも悪い方にも捉えることができるようになるというのは、感情を感情のままで置いておくことでは難しくて、感情を、解釈の可能性がある「言葉という道具」に置き換えることでできるようになるのだと思います。
そういう意味では、感情の整理は「①言語化」「②解釈」という2つのステップに分けることができる。だから、言葉にできない感情を言語化できた時点で問題は半分は解決したとも言えます。言語化により自分の辛い感情の原因が分かるだけでも気持ちとしては少し楽になると。
「何事も捉え方次第」と言われますが、何事も一つの方向でしか捉えることができないようなものではありません。どんな辛い状況もどんな楽しい状況も解釈次第で自分の気持ちが逆転することはあります。その自分の気持ちを逆転させる方法 として、まずはその感情を言語化をすることが有効だと、私自身の苦しかった頃の経験を通じて感じます。
つまり言語化とは、苦しい気持ちを逆転させるスキルなのです。
そして、私にとって言語化をする上で「書く習慣」は大切だった。
もし今現在が気持ち的につらいという方は、ものは試しということで、ノートとかペンとかを持って今の自分の気持ちをひたすら書いてみるところから始めてみたら、解決の糸口になるのかもしれません。
以上です。
コメント